レンアイ 韓国年下男の子
キム先生は、最初緊張したけど、

それは、どこか育ちのよさからくる

きちんとさというか。

あくまで、授業はくだけない姿勢をとっていた。

あたりまえだけど。

でも、授業が終わるといつも韓国の話を何かひとつしてくれた。

その時は、先生じゃなくて、サウさんと呼んでいた。

そう呼ぶように言われたからだ。

今日は、男子の兵役の話だった。

韓国と北朝鮮は、今も緊張した関係であることは、

なんとなく知っていたが、

成人男子にみんな、兵役なるものが未だあることは、知らなかった。

「サウさんも、行くんですか?」

「はい。そのうち。学生時代に行く人も多いから。」

「そうなんですか。」

「ヒョンも今、陸軍に・・・」

「ヒョンって、サウさんのお兄さん?」

「いや、こっちで知り合った、そう、あの韓国料理屋のお客さん。」

 え、もしかして・・・

「名前は?」

「ジョンフンさん。カン・ジョンフン。彼、急だったらしくて、

 日本を立つときも、何か心残りがあるみたいだったなあ。」

まさか、ほんとに・・・

「南さん。どうかしました?」

「ジョ、ジョンフン。そんな。」
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