空の君へ〜命をみつめた真実のラブストーリー〜
しばらくすると、家のチャイムが鳴った。
お母さんが出て……
すぐにあたしの部屋に陽がきた。
息を切らして……髪が乱れている。
「冬なのに汗かいた……」
「来なくてよかったのに」
かわいげのないことを言ってしまった。
本当は、うれしくてしかたがないのに、陽の服についている香水の匂いがイヤだった。
いつもの陽の香りがしない。
だから、触らないでほしい……。
「怒ってる?」
「怒らないよ」
「なら、こっち向け。俺をみろよ」
「イヤ」
「即答……。ごめん」
「イヤ」
子どもすぎるあたし。
なにか事情があるってわかっていても、やっぱりイヤ。
この鼻につく香水の香りがイライラを強くする。
「そんなに女の子と密着したの?」
「は?」
「女の子の香水の匂いさせてるから……」
嫉妬してるのバレバレだよね。
でも本当にイヤ。
あたしが怒って背中を陽に向けていると……
陽はうしろからあたしを包み込んだ。
なに考えてるんだろう……。