空の君へ〜命をみつめた真実のラブストーリー〜
「ありがとう。 陽は幸せね」
にっこり優しく笑ったお姉さんは、なにかをメモした紙だけおいて伝票を持っていった。
その紙には病室を示す番号が書かれていた。
陽はここにいる……。
あたしが陽の心の支えなら、あたしは陽のそばにいる。
それがあたしが陽にしてあげられる唯一のこと。
風邪が悪化したあたしは一度ゆっくり休むことにした。
あたしが元気じゃなきゃ、陽を支えるなんてできない
そして次の日、いつもより早く起きると、すぐにご飯を食べ、薬を飲む
「お母さん」
「どこに行くの? 寝てなきゃダメじゃない」
「陽が入院してるの、知ってたの?」
お母さんは驚いてあたしを見ている。
きっと……。
うん、たしかに知っていた。
「陽くんが入院してすぐ、名前を見てまさかとは思ったわ。でも、間違えるはずなかった。一ノ瀬陽なんて珍しい名前だから……。検温しに行ったら。やっぱり陽くんだった」
「なんで、教えてくれなかったの?」
「陽くんの事情を聞いたら、絢には言えないと思ったわ」
お母さんも知っていて……。
知らなかったのはあたしだけだったの?
隠していたのは
陽のずるさじゃなく優しさ。
「いってらっしゃい。陽くん、いつも絢の様子を聞いてきた。会って驚かせてあげて」
お母さんはあたしにコートを着せて
背中をたたいた。
陽……
待っててね。
あたしは陽のところに行くよ