空の君へ〜命をみつめた真実のラブストーリー〜


あたしは永遠を失い、太陽をなくした。

夜空に咲き誇ったのは
きれいな微笑みを見せて旅立った……


……たったひとつの大きな向日葵だった。





3月3日
22時15分 行年17歳


短すぎる生涯を終えた陽



陽の言葉が蘇ってくる。

『笑え』
こんなに大切な人を失って……陽は笑っていられるの?


陽が亡くなって2日……
食事がのどを通らなくなった

吐くものもないのに、吐き続けて……


お母さんが心配している……。
ごめんね。心配かけて……。






「絢……。陽くんのお姉さんが……来てるわ」






家で寝ていると、お母さんが陽のお姉さんを部屋に通した。
ベッドから起き上がり座る。





「絢ちゃん……大丈夫?」


「あ……はい……。情けなくて……。陽が怒りますよね……」


「怒ったりしない……。これ……。遺品整理のときに見つけたの」






手渡されたのは手紙?
きれいな右上がりの字で“絢へ”と書いてある。





「あと……これも。あの子ったら……」





ピンクの箱?
開けると……指輪が入っていた。

小さな紙も一緒に。そこには……


“心はずっとそばにある”


の文字が。



こんなものいらないよ……
陽がそばにいてくれたらよかったのに。





「告別式……明日の夜……来てあげて。あの子に親はいないから」





お姉さんたちは帰って行った。
この手紙……。


こんなベタなこと嫌いのくせに……


やっぱりずるいよ


陽は……






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