子猫が初恋提供します。
☆遊びにおいで?



放課後、着替えを済ませた夜と一緒に下駄箱で待っていてくれた蓮と篠崎先輩と合流した後、夜の希望で学校近くにあるファーストフードのお店に行くことに。


高校側に建つお店らしく店内は学生客で賑わってる。



「……で。なんで俺が奢ることになってんの」


注文のためにレジに立った篠崎先輩が苦い顔。


「おねーさん、これメガサイズにしてー」


「おまえ頼みすぎなんだけど!?」


「あ、あとテリヤキも買って。さすがミスタータレ目。チャラいだけあるね。よっ、太っ腹〜」


「褒め言葉じゃなくない!?」



だけど夜は宣言通りちゃっかり篠崎先輩にお会計を押し付けてしまった。
ブツブツ文句を言いながらも篠崎先輩は、恐縮するあたしや断る蓮の分まで気前よく払ってくれた。


なんとか空いた席に4人で座って、「いただきます」と篠崎先輩にことわってから冷たいジュースを口にすると雑多なお店の中でようやく落ち着いた。



「にゃあちゃん、初めての夜のバスケ姿どうだった?」


「!?」


見計らったみたいなタイミングでニヤニヤあたしを見ながらそんなことを言い出す篠崎先輩に思わず口にしたジュースを噴き出しそうになる。


「かっこよかったでしょ?」


「~~~!」


真っ赤になって答えられないあたしににっこり微笑む篠崎先輩。
助けて欲しくて向かいに座る夜をチラ見したけど夜はハンバーガーを黙々と食べてて我関せず……。
隣の蓮も何だかぼうっとしてて変……。篠崎先輩との賭けに負けたのがそんなに堪えてるのかな?


「夜があれほど本気出したの俺初めて見たよ」


「もーその話いい」


篠崎先輩に嫌そうな顔をして夜はゴミが乗ったトレーを手に席を立つと、篠崎先輩は夜が完全に見えなくなってからここぞとばかりにあたしの方に身を乗り出した。



「実はさ、相手チームの奴がにゃあちゃん見て気にいっちゃってたんだよね。蓮ちゃんも一緒に」


「へっ!?」


「夜、それ聞いちゃってキレてさぁ」


あたしは知らなかった練習試合の背景に目を丸くした。


「夜は間違いなく君を守るために本気出したんだと思うよ。だからさ、」


そこで篠崎先輩は言葉を切ると、グッと身を乗り出してあたしの耳にコソっと耳打ちをした。







『頑張った夜に、ちゃんとごほうびあげてやってよ』



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