絆 ─言葉が伝わらなくても。─

本当は分かってた。

最初に君を抱き締めたあの時から

いつかあたしより先に、いなくなっちゃうんだって。


いつか

あたしが知らない所に走ってくんだって。

おじいちゃんの所に行くんだって。



ねぇ、結希。

また会おうね。

あたし、あの頃と変わらないんだ。

ずっと自分を造ってきたから、まだ泣いてばっかりなんだよ。


結希がいないと涙が止まんないよ。


だから、結希。

あたし、まだそっちには逝けないけど

たくさんたくさん思い出を残してった、結希。


1つ残らずあたしが抱えて、いつか会いに行くよ。


あと何十年か、一人で待てるね?結希。

そしたら必ず、誉めてあげるから。

そしたらまた、前みたいに笑って。


今度会うときも、言葉が伝わらなくてもいい。


たとえ言葉が伝わらなくても、あたしは結希を分かってる。

それ以上に、結希もあたしを分かってる。


それじゃあね、結希。

大好きだよ。

忘れないから
忘れないでね。


また、必ず会おうね。

ばいばい。

あたしの妹ちゃん。


・・・fin・・・
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