罪線

平岡の場合

ブゥゥゥン……ブゥゥゥン……

僕の携帯にメールが届いた。

=平岡、お前の時間だ。好きな事をやりな。制限時間は2時間。from.α

「よし、じゃ出掛けるか……お腹空いたし、まずはコンビニだな……」

しかし、この"α"って人間は何者なんだろう。全ての指示はこの人から下っている。

ちなみに僕が仕事もせずに衣食住に不自由することなく過ごせるのもこの人のお陰だ。

僕が外に出ると、いつもの様に数人の警察が張っている。

じれったそうな顔だ。

それは無理もない話。目の前には犯人や人質のいる民家があり、今まさに犯人が丸腰で出て来ているのに、捕まえるどころか近付く事すらできない。

これも全て、αのお陰。

僕は警察の前に立ち、決まって言わなければいけない言葉を吐き捨てる。

「入りたければいつでもどうぞ。犯人は僕一人じゃありませんので」


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