簪彼女。
しょうがないなぁ、なんて思いつつ。
簪を取って髪をほどこうとした私は固まった。
……ヤバい、これじゃあ取れない。
真っ赤だった顔を洗って、今度は手にべっとりとペンキがついている。
この手で、この大切な簪に触りたくない。
かと言って、手を洗うのも難しい。
考えろ、私。
考えるしかないんだ……っ…!
……と、そこで。
「背に腹は変えられぬ……!」
私はとある作戦に出た。
作戦って言っても、そんなたいしたものじゃないけどもね。
これしか、(私の頭じゃ浮かば)ない……!
テレレレー!
題して、
「簪を手を使わないで取ったるでー!作戦!」
シャキン!
一人、全身鏡の前で叫びながらポーズを取る。
良かった、学校完備の(何故か)防音付きのシャワールームで。
しかし足りない、突っ込みが。