闇に降る雪のように
よく降る雨だこと。
笑ってしまう。
そんなことしか浮かばない自分のことを。
今日は、夫の葬儀だというのに。
昨日からいろんな人がうちに来て、あれこれやってくれる。
「大変だったわね」
「気を落とさないでね」
腫れ物に触れるように、口々に気を遣ってくれるのは
私が、夫を惨殺された哀れな妻だから。
「ええ、大丈夫よ」
と言いながら、うつろな瞳で座っている私は
その哀れな妻を上手く演じているかしら。
涙なんて一滴も出ないけど。