せーの、で忘れてね



「牧山ちゃん、悪役なんだってね」


「はは‥いや‥‥」



「そういうことする人がいてくれるのも、きっといいことなのよね。 人生ほど曖昧なものはないんだから」


ホラ、‥‥また。



「‥‥‥‥」


「前に牧山ちゃんにもう言っちゃったから話すけど、結婚ね、日取りまできまっちゃってるの」


「え‥‥」


いつの間に。



もう、決定したんだ。



「ヨーロッパで親族招待して挙式することにしたんだけどね、挙式は4月なの。 だから、進学する前には行っちゃうから、今日、先生方にも挨拶してきた」



「向こうに行くのは‥‥挙式が終わってからなんですか?」


あたしは寒さで動きがトロくなった口を必死で動かす。



「ううん。 挙式より前にちょっとは生活安定させたいし、行くのは挙式前なの。 次の日曜に飛行機とれたから、それで行こうかなと思って」







‥‥うそでしょ。







< 22 / 45 >

この作品をシェア

pagetop