†穢れなき小鳥の殺し方†

俺の携帯が鳴ると和香は異常なまでに細い体をビクつかせた。

相手はホスト仲間からだったり客からだったり、

遙香からだったり――。


「どうしようか?」


俺の声に和香はフルフルと首を振る。


「じゃ、出れば?」

「・・・・・・」

「出ないなら俺が出るけど?」


そう言うと和香は一度ギュッと手を握って「・・・・・・出ます」と携帯に手を伸ばした。

震える指が通話ボタンを押す。


『ショウ?』


聞こえてくるのは遙香のヒステリックな声に震える和歌の肩。

いつまでも和香が答えないでいると、


『・・・・・・和香?』


低い遙香の声が聞こえた。


『ショウに代わりなさいよっ!』


ヒートアップした遙香の声。

和香はただ「ごめんなさい、ママ」と繰り返すだけだった。

< 136 / 203 >

この作品をシェア

pagetop