†穢れなき小鳥の殺し方†

いつまでたっても景気なんて回復しない。

寧ろ落ちていく一方。

詳しいことは知らないが、多分社員の給料すらまともに払えなくなっていたんじゃないかと思う。

そんな時、うちに来たのが銀行の人間だった。


「絶対とは言いませんがここ2、3年はずっと上昇傾向で・・・・・・」


テーブルの上には『投資信託』の文字が見えた。

後から母親に聞いた話で、その『投資信託』をすれば会社への追加融資を考えてもいいといわれたそうだ。

結局、そんな美味しい話なんてあるはずも無く、


「絶対儲かるって言ったじゃないですか!?」

「何言ってるんですか、相沢さん。絶対なんていってませんよ。あくまで『投資』ですから、上がることもあれば下がることも――」

「あの金は社員の退職金の積み立てでっ」

「そうは言われましても・・・・・・」


俺が学校から帰るとそんな会話がリビングから聞こえてた。

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