少女と精霊と聖なる神子
『母さんの魔力を与えたら、もうイチコロよ~♪』
と胸を張って言い告げる母さんには、正直凄みが感じられず逆に呆れてしまう。
「って言うか!私利私欲の為に精霊の力使うな!!」
「ええ~……」
「ええ~……じゃない!!」
ああ、朝から頭痛が……
……………。
「それじゃあ、行ってくるけど……」
「よいしよっと……ん~?どうかした~?」
「一応言っておくけど、校門までついてくる必要ないから……」
なんだその大量の荷物は……
「え、え~?母さん何のことかさっぱり~?」
「いや、さっき思いっきり『よいしよっと』って、行く気満々だったじゃない」
「で、でもですね~……」
「デモも何もありません」
「……………」
「……………」
「………お願~い?」
「可愛く言ったって、駄目なものは駄目です」
母さんが部屋の隅で小さくなったのを確認した私は、もう一度出掛けの挨拶をしてから家を後にするのであった。