俺様王子の初恋





けど、唇が離れて、先輩の指が
濡れた私の唇をなぞった瞬間
先輩の目つきが変わった気がした。






欲に濡れた瞳から、
殺気を帯びた鋭い目つき。
その目が彼女を捕らえると
彼女は楽しそうに笑った。







「 なぁに?ちょっとした悪戯でしょ? 」


「 最初に葵をここに入れたのも
  確かお前だったよな? 」


「 高校2年生にもなって彼女がいないなんて
  大問題じゃない?だから協力をね? 」


「 は?結局邪魔しかしてねぇだろ 」






二人の会話は、紛れもなく兄弟だった。
悪戯を楽しむお姉さんと、反抗する弟。
今になって気づいたけど、二人とも
目元がそっくりだ。






「 親に反抗してココに来た理由を
  作ってあげようと思ったんだけど? 」


「 ふざけんな、クソ女 」






未だに息をきらして、ぼんやりしている私は
完璧に乗り遅れてる。








< 230 / 326 >

この作品をシェア

pagetop