名前の無い物語

油断した一瞬
川崎は後ろから迫っていた奴に、押されたようにその場に転けた

ズシャァと砂煙が舞う


「あぁ!」

「ちょ、今の確実アイツが押したじゃん!」


どこからどう見てもアイツが押したように見えた
だけど…審判からは何の反応も無い

川崎はすぐ立ち上がって、痛む足で必死に走り出す

けど、バトンを渡す頃には順位はもはや五位になっていた


「川崎ー!」

「よく頑張ったなー!!」

走り終わった川崎に、クラスからの歓声が飛ぶ
川崎は苦笑いを浮かべた


順位はそのまま変わらず、距離も保つので精一杯

そんな状況の中…吉野はスタート地点にたっていた
そして、自分に向かって走ってくる
名前も覚えていないクラスメート


…バトンパスなんていつ以来だろう?
しかも、コイツとやった経験は無い

ぶっちゃけ本番だけど
もう…大丈夫…だよな?


ーー友情ってさ、過ごして来た時間も大事だけど…少しの時間の中でも、どれだけ心をより添え合い合おうと思えたかが大切だと思うんだーー


バトンは吉野の手に渡った



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