Bloody×Lovers
Black and Sickle
帰り道、匡様の話してくれたことを思い出していた。

『ヴァンパイアは、長すぎる時を生きる。
 だが、長すぎるときに対して同族は少ない。
 だから、人をヴァンパイアにする能力がついたんだ。
 最も数の多い人という種族を、な。』

数の多い、種族・・・。

『人からヴァンパイアになったものは2種類ある。
 姫、あるいは騎士───ヴァンパイアの愛するものとして一族に迎えられたモノ。
 そしてもう一つが───

 バケモノ、だ』

そのとき、匡様がすごく悲しそうな顔をしていたのを覚えている。

『バケモノは命令に忠実で、従順で、意思を持つことはほとんどない。
 逆に姫、騎士は意思を持ち恋人として傍にいることが許される・・・もっとも、条件付だがな』

その条件が一体なんなのか、匡様は教えてくれなかったけれど・・・

話しているときの匡様の目は、苦しくて、悲しくて、崩れてしまいそうだった。

「さむ・・・」

私は着ていたコートに少し顔をうずめる。

時刻は昼の2時にもかかわらず、雪が降っている。

ダンッ!!

何かが爆発でもするような、音。

直後に、悲鳴───

驚いて声のするほうを見ると、人が倒れていた。

その横には、急ブレーキの痕跡と、停止した車。

事故・・・?

私は人ごみを掻き分けて前に出た。

咽返るほどの血のにおいと、歪に白に染み込んだ、赤。

人が赤い絨毯のような血黙りに、倒れている。

「んぅっ・・・!!」

急激な吐き気が私を襲った。

「ん・・・う、ぇ・・・」

気持ち悪い。

だから私は気付かなかった。

倒れた人のもとに、黒いマントを羽織った人型が近付いているのを。

そしてその人型が鎌を持っているということを。

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