恋するショコラ《完》


真人は自由に出掛けられるようにとほのかに自宅の合鍵を渡していた。そのほのかが買い物から帰ってきて家に入っていくのをこの男が見かけたというのだ。


「あの、ほのかに会わせてもらえませんか?突然家を出ていってしまったので。話し合いたいのです。」


真人は父親と名乗るこの男を不審に感じていた。ほのかは家族がいながら家を出てきた。何か家庭以外に問題があったなら、おそらく父親を頼るはずだ。しかしほのかは家を出てきている。


疑いを持った真人はいつでもドアを閉められるようにドアに力を入れた。


「とりあえず、今日のところはお引き取りください。どんな事情であれ娘さんの方もいきなりお父さんがいらっしゃったら驚くと思いますし。僕の方からお父さんがいらっしゃったことは伝えておきますので、後日また話し合いの機会をもうけるということでよろしいでしょうか?」


なるべく穏便に父親と名乗るこの男をほのかから遠ざけたかった。この男とほのかの間には何かがあると真人は思ったのだ。


「いえ、どうしても今日、娘に会いたいのです。」


男も引き下がらない。真人は危機感を感じてドアを閉めようとした。


その時だった。






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