龍とわたしと裏庭で⑤【バレンタイン編】
圭吾さんはわたしにキスをした。


ゆっくりとした優しいキス


「ベッドへ行く?」


キスの合間に口元で囁かれた。

わたしは何の迷いもなく、コクンとうなずいた。


圭吾さんはわたしの手を取って立ち上がった。


「青少年なんとか条例にひっかかったりするのかな?」

寝室に向かいながら圭吾さんが言う。


「今更?」

わたしは笑った。

「今までもひっかかりそうな事してるじゃない。それにわたし達は婚約者同士よ」


「そうだね」

圭吾さんも笑った。

「僕は少し神経質になってるみたいだ」


寝室のドアを開けてわたしを中に入れると、圭吾さんは静かにドアを閉めた。

静かな部屋にカチっと音が響く。


「ベッドに座ってくれる?」


圭吾さんがそう言うので、黙ってベッドの端に座った。

圭吾さんはしばらくじっとわたしを見ていた。

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