龍とわたしと裏庭で⑤【バレンタイン編】
「ナイスだわ、彩名! あー、すっごくイメージ湧いてきた。採寸させて、ね?」


わたしはあっという間にキャミソール一枚に剥かれて、体のあちこちを測られた。


「女の子を下着姿にする手腕たるや、感服するわ」

彩名さんが笑いながら言う。


「人聞き悪いわね。でも、カメラマンよりも早く脱がせる自信はあるわ」


採寸の次は、色々な布とレースを肩から掛けられた。

目が回りそうになった頃、ドアがノックされて圭吾さんの声がした。


「ああ、ここにいたのか」


「お帰りなさい」

わたしは肩越しに圭吾さんに言った。


「もういい加減に僕に返してくれよ」

圭吾さんは不機嫌そうだ。


「はいはい。堪え性のない子ね」


彩名さんが言い終わらないうちに、圭吾さんはスタスタとわたしの方に歩いてきた。

両手を伸ばして圭吾さんに抱きつく。

圭吾さんはわたしをギュッと抱きしめてから、来ていたジャケットをわたしに着せかけた。


「病み上がりなんだから、無理させないでくれ」

ぶっきらぼうな口調で言う。

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