君とこんぺいとう
あなただけ
私は気持ちを落ち着かせると
思い切って隼人に電話をかけた。

『萠?』

「うん、さっきは話せなくて
ごめんなさい」

『いや、今は大丈夫?』

「うん」

耳に心地よい隼人の声につい聞き入ってしまう。

「珍しいね、電話くれるなんて」

私が言うと、電話の向こうで隼人が小さく笑った。

『我慢してるからな』

「え…?」

聞き返した私の声には答えずに
隼人は言った。

『話があって電話したんだ』

「うん」

知らずに私は膝のうえで手を握りしめた。

『実は茜にドナーが見つかった』


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