君とこんぺいとう
素直な気持ち
心地よい体温を感じて目が覚めると
隣には隼人がいた。

目を閉じて無防備に眠るその姿を見て
愛しさがこみあげてくる。

(どうしてこんなに好きなのに
離れようとしたんだろう)

隼人の腕の中にいると心から安らげる。
そこは私にとってかけがえのない場所だった。

私はその心地よさから離れたくなくて
隼人の胸に頬を寄せた。

「…ん」

寝ぼけたような声を出して身じろぎする隼人。
私は慌てて寝たふりをした。

「萌…」

腕の中にいる私に気づいた隼人は
優しく私の髪をなでて抱き寄せた。

「萌、愛してる」

私はその言葉を聞いた瞬間
体が震えるのを感じた。

隼人から愛してると言われるのは初めてだったからだ。

「萌…起きてるのか?」

のぞきこまれて、私は思わず手で顔を覆った。

「起きてない…」

「何だそれ、起きてるだろ」

手をどかせようとする隼人に顔を見られたくなくて
彼にぴったりと抱きついた。

「萌…泣いてるのか?」

涙が止められない。

「なんで泣くんだ?」

隼人は心配そうに私の肩を抱いた。

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