君とこんぺいとう
訪れた幸せ
萌さんの移植手術は無事に終わり
術後の経過も良好だった。

萌さんのお母さんも体調が良くなり
病院に付き添える日が多くなったことで
隼人が病院に行く日も以前に比べると少なくなってきた。

「茜には話したよ」

土曜日に病院へお見舞いに行った後
隼人は私の部屋に泊まりに来ていた。

ソファでくつろいでいる時にふいに言われて
私は思わず姿勢を正した。

「…茜さんは何て?」

緊張して返事を待つ私をおかしそうに隼人は見つめて言った。

「茜なら大丈夫だよ。
退院したら俺より良い男を見つけるって言ってた」

それを聞いて思わず胸がせつなくなる。

その言葉は茜さんの精いっぱいのつよがりに違いないから。

うつむいた私を隼人が抱き寄せる。

「萌が落ち込むことないだろ?
これだけは茜に乗り越えてもらうしかないんだ。
もう助けてはやれない」

私は隼人の胸の鼓動を聞きながら
目を閉じた。

「うん…。そうだね」

ふいに唇に温かくて柔らかい感触がした。

「…んっ」

隼人の優しいキスを受けた瞬間から
私の気持ちのつらさは嘘のように消えていった。
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