君とこんぺいとう
新しい自分
(おかしい…)

仕事中にも関わらず、私は首をかしげた。

吹く風も冷たくなり
日が暮れるのが早くなった秋の終わり。

会社では以前とは違ったことが起きていた。

例えば、ファイルを何冊も持って
廊下を歩いていた時のこと。

「小川さん!それ、持つから貸して」

そう言って声をかけてくれたのは
これまでほとんど話したこともない協力会社の社員の男性。

「え…でも」

「いいから。手伝わせて」

彼は私からファイルを奪うと隣を歩き始めた。

「席まで運ぶよ。
何かあったら手伝うからいつでも言って」

「あ…ありがとう」

私は断る言葉も見つからず
結局運んでもらってしまった。

また別の日には、帰ろうとしていたときに
隣の課の三崎くんに声をかけられた。

「小川さん、いま帰り?」

「え…そうだけど」

「俺も帰るんだ。駅まで一緒に行こうよ」

「あ、うん」

三崎くんはそれからも時々、駅までの帰りが一緒になる。


そんなこんなで隼人と付き合い始めて以来
これまで話したことのない男性社員と話す機会が増えた。

「ねえ、おかしいよね?」

私は昼休みに加奈子とランチへ行き
ずっともやもやしていた疑問をぶつけた。

「これまで全然話したこともないし
別に仕事が一緒とかいうわけでもないのに。
なんで、みんな急に話しかけたりしてくるのかな?」

加奈子は私の話を聞くと、にんまりと笑った。

「それはねー、萌が変わったからだよ」

「私が…?」

私は何を言われているのか分からず、首をかしげた。

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