君とこんぺいとう
会えない時間
茜さんの入院生活が始まってから
隼人は仕事と病院通いで連日忙しそうだった。

私も時々は病院へお見舞いに行ったが
頻繁に行くのは控えた。

あまり親しくない私がたびたび行くのも
入院中の茜さんに気を遣わせるだけだと考えたからだ。

私と隼人はメールと電話で連絡を取り合っていたものの
会社以外でゆっくり会えるのは月に1度か2度。

「だから最近、萌の元気がないわけね」

ランチに誘ってくれた加奈子は
溜息をついた私を見てそう言った。

「そんなに元気ないかな?」

「元気そうにしてるけど、無理してるみたいに見える」

ずばり言われて私は肩を落とす。

「ラブラブの時期に会えないのはつらいよね」

加奈子は食後のコーヒーを飲みながら言った。

「でも萌だけじゃなくて、里中もつらいと思うよ」

「そうだよね」
 
「萌が会社で元気ないのを見たら
余計につらいんじゃないかな?」

加奈子の言葉にハッとして私は顔を上げた。

(そうだ。大変なのは隼人のほうだ)

「加奈子の言うとおりだね。
隼人に心配かけないように、私は元気出さなきゃ」

「そうそう、その調子だよ。私でよければいつでも付き合うし」

「ありがとう」

私は加奈子に微笑んだ。
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