君とこんぺいとう
私は思いきって話すことにした。

茜さんと隼人の関係、茜さんに頼まれたこと、自分がどうしたらいいか分からないこと。

私が話すことを田代くんは黙って聞いてくれていた。

私は一気に話終えると溜め息をついた。

「隼人には相談できなくて」

「里中に話すべきだと思うけど?」

「え?」

田代くんは冷静に言った。

「確かに茜さんは気の毒だと思うよ。
むげに断れない小川の気持ちも分かる」

そう言いながら私をまっすぐに見た。

「でも茜さんは里中の気持ちを無視してるだろ。
里中は小川が好きなんだし
その気持ちを無視して勝手に決めていいことじゃないと俺は思う」

「でも隼人に言ったら、私と茜さんの間で隼人が苦しむ」

「お前が里中から離れたら
あいつは苦しまないのか?」

私は答えにつまった。

「小川が一人で犠牲になる必要はない。
だいたい、小川が里中と別れても
茜さんと里中がうまくいく保証はないだろ?」

田代くんの言うことは正しい。

私は何も言えなくなってしまった。

「小川らしいな」

「何が?」

意味がわからずに田代くんを見ると
優しい瞳にぶつかった。

「まず、自分を犠牲にしようとするところが」

田代くんは笑った。

「変わってないな。
入社したときから、そうだった」

「そうかな?」

「ああ、ずっと見てたから分かる」
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