屋上で


「え?風上君ってまさか…」

「嘘でしょ!?」

「有り得ないわよ。…でも、いつもクールな風上君が今日は…」



という女子たちの小声が次第にざわざわと教室中に広がる。




うわぁー…
持田の言うとおりだ…



「あ、千春!おはよう。
ねぇ千春、この頭の悪い奴に俺と千春が付き合ってるって言ってやってよ?コイツ、俺の言うこと全然聞かないんだ」




持田が私に言ってきた。

これってあの作戦だよね?



私は息を大きく吸って答えた。




「ごめんね、風上君。
私、持田が好きなの」




痛い!胸が痛い!
うあぁ…もうすでに心の中に罪悪感が…




そう思っていると、思いっきり腕を引かれ、持田にキスされた。



―――いや、キスのふりをされた。

私の頬に持田が両手を添えて口元を隠してるけど、かなり顔の距離は近づいているから、外からみたら何度も持田が角度を変えてキスをしているようにしか見えない。




ヒュウッと男子たちが口笛を吹く。




冷時だけは何も言わずに教室から出て行った。




――…もうすぐで授業が始まるのに…
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