屋上で


そうしている内に奴が外で女と二人で居るのをよく見かけた。


丁度校舎の陰になり、人気の少ないそこは告白スポットでよく使われていた。


俺も実際何回か行ったし。



だから俺は告白されてるのか…と何の気なしに眺めていたのだが。




来る日も来る日も奴の告白は途絶えることなく続いている。しかも毎回違う女。


だけどそれはいつも女が座り込むか走って去っていくのどちらかでアイツが優しく頭を撫でたり、ましてやキスの1つも見たことがなかった。




だから俺は毎回無表情で何もなかったかのように教室へ戻って来るソイツに声をかけた。




「風上って好きな奴居るのか?」




奴はちょっとだけ驚いた顔をしたけれど、すぐに真顔に戻って




「居るよ。中学からずっと好きな奴」




それがあまりに真っ直ぐな答えで。
あまりに優しい声だったから。


すぐ分かってしまった。


――コイツは俺に無いものを持っている。



重いだろ?と言いながら真顔だった事がひどく印象的な奴だった。
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