年下のカノジョ~あの子は高校生~

16】玉砕ホワイトデー(後編)

 ホワイトデーのお返しを入れた紙袋を提げて、俺は出勤した。
 


 叔母さんへのお返しにはワインを用意したが、ロマネコンティであるはずもない。

 ちょっと探せば安くても味のいいワインはいくらでもあるのだ。


 最近ではブドウの栽培技術が世界各地で向上し、フランス以外でも良質なワインが取れる。
 
 叔母さんの好みに合いそうなカルフォルニア産ワインは2000円ほどで買える。
 

 ちなみに、質がいい高いワインほどラベルは簡素なものである。

 派手なラベルで宣伝する必要がないからな。






 ちょうど車を降りたところで、店の横の小道を抜けてきた水田と顔を合わせた。

「おはよう」

「おはよう、三山」
 


 水田の手にもお返し用と思われる品が入った紙袋が握られている。

「何を用意したんだ?」

 ひょいっと中を覗くと、綺麗なきつね色をしたマドレーヌが入っていた。



「いいよなぁ、お菓子が作れる奴は。
 お返しに手作りパスタって訳には行かないもんなぁ」
 
 それにしてもうまそうなマドレーヌだ。

「なぁ。
 もし余ったらでいいんだけど、1つくれないか?」

「そう言うと思って多めに用意してきた。
 赤川なんかは絶対に欲しがるだろうし」


「ああ、間違いなく欲しがるな」



 そんな話をしていたところに赤川がやってくる。

 うわさをすればなんとやら・・・・・・。
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