年下のカノジョ~あの子は高校生~

18】赤ワインと白ワイン

 陽射しの穏やかな春の日曜日の午後。
 
 うとうとするにはちょうど良い気候だ。



 昼のまかないを食べ終えたスタッフ達がホールで思い思いにくつろいでいる。



 そこへ、山岸さんが血相を変えてやってきた。

 つかつかと、オーナーの元へ。

「厨房の夜のシフトは人数に余裕がありますかっ?」



「どういうことかな?」


 突然の申し出に、オーナーをはじめ、スタッフ達全員が山岸さんに注目する。

「今夜出勤するはずのスタッフが2名ほど体調を崩したと連絡がありまして。
1人ならまだしも、2人抜けられるとちょっと・・・・・・」
 眉を寄せて困った顔の山岸さん。


「ああ、それで厨房のスタッフを借りたいと」
 なるほど、と叔父さんがあごをなでる。


 コックとして入社した人でも、必ずホールでの仕事を一通りマスターしてから出ないと厨房に入れてもらえない。
 



 オーナーの持論は

『コックは料理だけ作っていればいいんじゃない。
お客様のことを知って、初めてお客様のための料理が作れるようになる』

 である。
 


 というわけで、コックがホール借り出されても何てことないのだ。




< 133 / 718 >

この作品をシェア

pagetop