年下のカノジョ~あの子は高校生~
23】ネンザ(1) お姫様だっこ
 じりじりと焼けるような陽射しが連日降り注ぐ夏がやってきた。


 飲み込んだ告白の続きは、今でも俺の胸の中にある。

 俺と由美奈ちゃんは、相変わらず微妙な関係。




「あっちぃ。
 夜になっても、ぜんぜん涼しくなんねぇなぁ」

 ディナータイムを終え、自分の担当場所の片付けを終えた俺

 廊下でミネラルウォーターを飲んでいた。


 良く冷えたボトルにはたくさんの水滴があっという間に付き、うっかり手を滑らせる。

「おっと」


 鈍い音を立てて落ちるボトル。

 飲み口から水がトポトポとこぼれだしてゆく。



 白い床に透明な水溜りが広がっていった。




「あー、やっちまった」

 ほとんど空に近いボトルを拾う。 

 周囲を見回しても、掃除に使えそうな道具がない。


「ま、ただの水だしな。
 キッチンペーパーで拭けばいいか」

 ここは従業員通用口に続く廊下だから、お客が通ることもない。



 大してあわてることなく、のん気に厨房へ向かった。
< 169 / 718 >

この作品をシェア

pagetop