年下のカノジョ~あの子は高校生~
38】小さなコブシと、『バカ』と、涙ひとしずく
 俯く俺の視界の中で黒い影が動くのが見えた。

 由美奈ちゃんの頭だ。


 帰るのかな、と思ったら違った。



 1歩、2歩と俺に歩み寄って。



 そして。

 彼女がコツン、と俺の胸に額をつけた。



―――な、なんだ!?



 頭突きにしては、威力が弱すぎる。


 由美奈ちゃんが何をしたいのか分からない。





「あ、あのっ。
 柏木さん?!」



 呼んでも顔を上げない。


 額をつけたまま、下を向いている由美奈ちゃん。








「なんで“ごめん”って言うんですか?」


 俺の胸でポツリとつぶやく。
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