年下のカノジョ~あの子は高校生~
―――この笑顔を独り占めしたい・・・・・・。

 そう思った。



 何でそんなことを思ったのだろう。


 柏木さんは11才も年下で。

 彼女を知ってからまだ半月しか経っていない。


 それなのに。



 それなのに・・・・・・。

 どうして、そんなことを思ってしまったのだろう。




「―――さん。
 三山さん」

 心配そうに俺の顔を覗き込んでいる柏木さんの顔がすぐそばにあった。


「えっ、あ・・・・・・。
 何?」
 慌てて我に返る。

「いえ。
 急に黙り込んだから、どうしたのかなって。
 具合でも悪いんですか?」
 首を傾げて尋ねてくる。
 
 その仕草はどうやら彼女のクセらしい。


「う、ううん。
 何でもないよっ。
 そ、その・・・・・・、新しいレシピがひらめいてさ。
 ちょっと考えていたんだ。
 ただ、それだけだからっ。
 心配しないで、ね」


 俺のしどろもどろの言い訳に、柏木さんはなぜか感心していた。

「コックさんて、常に料理のことが頭にあるんですねぇ。
 はぁぁ、仕事熱心なんですねぇ」

 パッチリとした愛らしい瞳をキラキラさせて、尊敬の眼差しを送ってくれている。


―――ごめんなさい、言ったことはまったくの嘘です。
   だから、そんな目で俺を見ないで・・・・・・。


「あっ、冷めないうちにパスタも食べたら?」
 俺は彼女の視線から逃れる口実に、パスタを指差した。


「はい、いただきます」
 パスタをフォークに巻きつけて、せっせと口に運ぶ柏木さん。

「これも美味しいですぅ」


 再び俺を見てにっこりと微笑む。

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