年下のカノジョ~あの子は高校生~
74】2人で歩む道(7):足元にある幸せ
 これまでの『彼女を失うかもしれない』という絶望感が、彼女の温もりと微笑みによって、ゆっくりと解けてゆく。


―――やっぱり、由美奈ちゃんの笑顔、好きだな。

 しみじみと幸福感を噛みしめる。




 片想いをしていた頃、笑顔を見られるだけで嬉しかった。


 付き合うようになって、この腕に抱きしめることが出来て幸せだった。


 誰よりも近くで、彼女の笑顔を独り占めできることが、何よりの喜びだった。



 なのに。

 時が経つにつれて、彼女により多くのものを求めるようになっていたのかもしれない。



 求めるどころか、押し付けてさえいた。
 





 最初は彼女が笑ってくれさえすれば、それで満足だったのに。


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