年下のカノジョ~あの子は高校生~
2】切ないため息
 ドガァッッッン・・・・・・!!

「――――いってぇ」

 うっすらと開けた視界に飛び込んで来たのは見慣れた自分の部屋。

 ただし、上下が逆。



「なんだぁ?」

 寝ぼけた体と頭は言うことをきかない。

 しばらくそのままの体勢で考える。



 そして――――。


「あぁ、そっかぁ」

 なんてことはない。

 ベッドから上半身が落ちていたのだ。

 
 さっきの鈍い音は床に頭を打ちつけた音。




「それじゃぁ・・・・・・今までのは、夢?」
 
 それ以外になにがあるというのか。

 この部屋には夢に出てきた少女は影も残り香すらもなく。


 だらしなくパジャマが着崩れ、ベッドから半分落ちている俺がいるだけ。


「夢か。
 そっかぁ、・・・・・・そうだよな」

 あんなことは現実に起るはずもない。



「はぁぁ」
 つらいため息がこぼれた。


 とても幸せな夢だったけれど。

 それが叶わぬ夢だと知っているから、やりきれない思いで気分が沈む。

 
 すがすがしい晴天がカーテンの隙間から広がっているが、何の慰めにもならなかった。



「あ~あ」
 するりとベッドから這い出し、背伸びをする。

 壁の時計に目をやると、9時25分を指していた。

 今日のシフトは遅番だから昼過ぎに起きれば充分間に合うが、寝直す気にはなれない。

「起きるとするか・・・・・・」

 俺は1人暮らしをしている。

 誰が返事してくれるわけでもないのに、いちいち声に出してしまうのはなぜだろう。
 
 そんな自分がおかしくて、ちょっと笑った。  
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