年下のカノジョ~あの子は高校生~
 そんな会話をしながら更衣室を出ると、
「あれ?」
 赤川が声を上げる。

 柏木さんが立っていたのだ。



「どうしたの?
 誰かに用事でもあるの?」

「誰かじゃなくって、皆さんにです」

 そう言って、柏木さんは手に提げていたバッグの中から緑色が主体のギンガムチェックの紙袋を3個取り出した。


「よかったらもらってください。
 チョコは他の方にもらっているでしょうから、クッキーを作ってきました」

 まずは一番近くにいた赤川に渡す。

「やった!
 嬉しいなぁ。
 クッキーの方が腹にたまるぞ」


―――そんな理由で喜ぶなよ、バカ川め。


「赤川さんらしい」
 柏木さんはくすっと笑って、次は俺の前に立つ。

「はい、どうぞ。
 お口に合うといいのですが」


「ありがとう。
 クッキーは好きだから楽しみに食べるね」


 俺が受け取ると軽く会釈をして、最後に水田のところへ。

 頬をうっすら赤く染めて、遠慮がちに袋を差し出した。


―――おや?
   俺たち2人と態度が違くないか?



「本職の水田さんに、私のお菓子なんて申し訳ないんですけど・・・・・・」

「そんなことないよ。
 この前の試作品、よく出来ていたよ」
 
 水田がこう言うと、柏木さんはパァッと明るい顔になった。
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