今までの自分にサヨナラを
私がいなくなったとしても、困る人はいない。
私は必要とされることはないし、寧ろ消えた方がいい人間だ。
だったらもう、どうでもいいから籠の外に飛び出すのも悪くない。
私は、おもむくままにハンドルを前へと傾ける。
そして、扉を潜り抜けた。
そう、籠の外の世界へ――。
私は初めて一人で踏み出し、そっと瞳を開いた。
重い空もひび割れたインターロッキングも、全てがくすんでいる。
風は、駐車場にたてられた三本の旗を揺らし、金属のぶつかり合う音を虚しく響き渡らせた。
一人で飛び出した外の世界も、所詮籠の中の世界とかわらないのかもしれない……。