ヘタレ王子とヤンキー姫
女王誕生の秘密
目の前の女性が元ヤンなんて、誰も信じられなかった。

樺音に荒れていた時期があったことも、颯太や恵美には、初耳だった。

「信じらんないんだけど。」

「樺音がバリバリに荒れてたとか想像つかねぇ。」

「俺にだって荒れてたときくらいあるよ。」

「どうして荒れてたの?」

春樹の質問に、全員が固まる。

普段からクールで温厚な樺音が荒れるのは、よっぽどの事なんだろうと、誰もが理由を聞かずにいた。

なのに…天然なのか、無邪気なのか、春樹は、あっさりと理由を聞いてしまったのだ。

樺音は、小さく笑ってみんなの方を見た。

「俺の過去の話をしようか?」
そういって、樺音は淡々と話し出した。

それは、仲間を…人を疑うことの知らなかった少女が引き起こした、悲劇。
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