会いたい

 誰かを待っているの?

 彼が頷く。

 恋人?

 恋人という文字に、幽霊は笑みを浮かべてもう一度強く頷いた。とても、愛しげに。

 その人も幽霊?

 驚くべきことに、幽霊は首を横に振った。

「生きてる人!?」

 私は思わず言葉にしていた。
 聞こえなくても、私が何を言ったのかはこの反応でわかったのだろう。頷いて笑う。

 来てくれるの?

 確信を持って、幽霊は強く頷いた。

「――同じなのね」

 幽霊は首を傾げる。

「同じ。私も。同じ」

 ゆっくり、私は言った。

「わかる? 私も、同じ」

 今度は幽霊が、びっくりした顔をした。

< 17 / 120 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop