会いたい

 透と私が出会ったのは、私が大学生になったばかりの頃だった。
 その頃の私は、最悪の状況だった。
 高校2年生の時、父親が病死して、経済的に苦しくなり、私は大学進学をあきらめて地元に就職することにしていた。しかし、3年生になって、突然、母が再婚した。
 そのおかげで大学に行くことができた。義父のお金のおかげで。
 だが、父親が死んでたった1年で再婚した母に、正直納得がいかなかった。
 だから、晴れて大学生になっても、周りのみんなと違って、少しも楽しくなかった。
 家に帰りたくなくてぶらぶらしていたところを、透に会った。
 透は、荒んでいた私の心を上手に癒した。
 ちゃらんぽらんな態度で、いつも私が心に溜め込んでいたものを吐き出させてくれた。
 怒っていたのは私だけで、透はいつも半分ふざけてた。会ったばかりの頃は、そんな透のちゃらんぽらんな態度にいつも腹を立てていたものだった。
 けれど、言葉の中にはいつも真実しか入っていなかった。
 そう。
 透は、いつでも本当のことしか、言わなかった――

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