ふたりの練習曲 ~Raita side~
「・・・わかった。
けど絶対に、負担かけるなよ?」
「うんっ!」
「ひとまず簡単に固定しとくから、演奏終わったら、保健室に直行だかんな!」
「うんっ!」
俺は生徒手帳を取り出すと彼女の上履きの横に差込み、それと上履きをハンカチで彼女の足首に十字にくくりつけた。
彼女は小さく息をのんで、それでも声は出さずに痛みを堪えた。
「悪い、痛かったか?」
「ううん、全然大丈夫だよ!」
涙目で言われても説得力はなかったが、それには目をつむる。