-キミの声が聞きたくて-
雫side



ドキドキする。

直人の掴む右手が、頭が、胸が。

少し前を歩きながら私の手を引く直人。


その背中を見るだけで、ちょこっと寝癖のついた可愛い髪の毛を見るだけで、直人の姿をみるだけで……


こんなにも胸がいっぱいで、張り裂けそうで。


気持ちが、溢れ出してしまいそう。




鳴り止まない鼓動。

直人にこの音が聞こえてないか不安になった。




“ちょっといいかな…?”



直人の少し掠れたハスキーな声が頭の中でリピートされる。


何か、話があるのかな……?

何だろう……


ちょっとって、何…!?
テンパって頭の中がゴチャゴチャ。


だ、誰か助けてぇ~!!

一人焦っていると、直人が話し出した。


「俺……俺、さぁ…」


夕日に縁取られた直人がきれいで、あまりにきれいでちょっとだけウルっと来た。


「……?」




直人の言葉を待った。



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