桜舞う中で
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放課後になり、私は雅と部活に向かった。


中学からテニスを続けている私の腕はなかなかのものだったりする。



でも、今日は雅に言われた言葉が頭の中でぐるぐると回っていてちっとも集中出来ない。




「桜姫!

あんた今日ちっとも集中してないじゃん


しっかりしなきゃ!!」



もう卒業だということで引退した3年の先輩達も来てくれていたのだが、そんな先輩に私は見事に怒られてしまった。



『すいません‥』



「どーしたの

何かあった?」


優しく聞いてきてくれる先輩にも言葉を返せなかった。


そんな私の気持ちを察したのか、



「そういえば先輩って、葉先輩と同じクラスでしたよね」


雅がそう言った。




「大崎君?

同じクラスだけど」



「‥やっぱりモテるんですか?」


ドキッ



雅のした質問に少し慌ててしまう。



答えを聞きたいような


聞きたくないような




‥でも


答えなんて

分かっているようなものか





「そうね

やっぱり人気あるわよ」



やっぱりね‥




「特に最近は卒業が近いからか

毎日のように告白されてるわ」



“みんな必死なのね”なんて笑ってる先輩の言葉なんか私にはもう聞こえていなかった。




マイニチノヨウニ

コクハクサレテル…




私の頭の中では壊れたテープのように何回も何回もこの言葉だけが繰り返されていた。







「…桜姫?」


雅の声で我に返ると、そこにはもう先輩の姿はなかった。



「大丈夫?」


『うん‥』



大丈夫じゃないよ…





「あんま落ち込むなよ」


そう言って雅は皆の方に戻って行った。




私は何ともいえないもやもやした気分のまま、練習に戻ることになった。





改めて葉先輩はモテるんだと思い知らされてしまった出来事だった。




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