桜舞う中で


「桜姫~」



桜を眺めていると名前を呼ばれ、声のした方を向いた。



『何?』


そこにいたのは親友の雅(ミヤビ)だった。





「あんた また葉(ヨウ)先輩のこと考えてたでしょ!

そんなに好きなら
さっさと告っちゃえばいいのに~」



“見ているこっちがもどかしい”と騒いでいる雅に私は苦笑した。




だって

もう1年近くも片思いしてるっていうのに、知ってるのは顔と名前ぐらい。


名前だって、直接聞いたんじゃなくて調べただけだし。



…調べるっていっても、それはかなり簡単だった。


カッコよくて頭もいい先輩はかなり人気があるらしくて、“3年の大崎葉(オオサキヨウ)先輩”は私達1年の間でも有名だった。




話し掛けようとしたことも何度かあったけど、いつも誰かに囲まれていてチキンな私には無理だった。


それに葉先輩だって私のことなんか忘れてるに違いない。



急に話し掛けたって、驚かれるだけだろう。




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