伯爵と妖精~新しい息吹~
「リディアさん、ティル様を早く…」
「どういうことだよ!!エドガー、お前か!」
憤るロタからティルを遠ざけようとするレイヴン。
「僕の可愛い子供たちに、ロタみたいな人に触れられたら困る」
「何だって!?」
今にも取っ組み合いが始まりそうだったが、
「エドガー!子供たちが泣いちゃうわ!」
リディアが眉をひそめた。
「あぁ、ごめんねリディア。今からうるさい奴を追い出すから…」
「うるさいのはあなたよ」
ロタが勝ち誇った顔をする。
「リディア、ごめんね。でも僕は…」
エドガーが開き直ろうとした時に、ティルが泣き出した。
「あぁ、ティル。いい子だから泣かないで」
慌てるリディアだが、ケリーがティルをあやめた。
「旦那様、お静かにお願いいたします」

ティールームでロタが紅茶を飲みながら、
「リディアは来ないのかよ?」
「リディアはまだ動けないんだ」
エドガーは出されたことに不快感を感じていた。
「そりゃそうか」
ドアが開いてリディアが入って来た。
「リディア!動いちゃいけないだろ」
急いで椅子に座らせた。
「もう平気だし、ロタとお話したかったの」
ロタが嬉しそうな顔をしたが、
「僕とは?」
はぶてた顔をしたが、
「エドガーとも…話しがしたかったわ…」
その言葉を聞いて、大満足になったエドガー。
それに、結婚直後よりリディアは素直になってきている。
「双子も大変だな、こんな馬鹿な父親もって」
ロタの愚痴を無視して、リディアをエドガーの隣に座らせた。
「そうだリディア、今度ティルとアテネの服を買いに行かないかい?」
二人でショッピングなんて久しぶりだし、いい気晴らしにもなるだろう。
「えぇ、ティルたちも一緒に」
「え?」
一瞬、聞き間違いかと思った。
「ティルたちも一緒に買い物行きましょう」
二人きりと言う夢が叶わなかった。
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