愛・地獄変 [父娘の哀情物語り]
「おお、そうかい。ありがとうよ。
ほんとに妙子は良い子だねえ。
今夜の寄り合いでね、妙子は可愛いお嬢さんだと、皆さんからお褒めの言葉を頂いたよ。
お父さんもね、ほんとに鼻が高いよ。」
「ほんと?良かった。
そうそう、お父さんに貰ったお小遣いでね、ミニスカート買ってきちゃった。
お母さんにはまだ見せてないの。
お父さん、妙子の味方をしてね。」

「あぁ、良いとも。
妙子にはどんな洋服も似合うだろうからね。」と申しましたが、実のところミニスカートなるものが、あのように丈の短いスカートだとはまるで知りませなんだ。
知っておりましたら、知っておりましたら・・。
他の男どもの好奇な視線にさらされることを知っておりましたら・・。

 わたくしはこの一年の間、女性との接触がまったくありませんでした。
いえいえ、性欲が無かったわけではありません。
むしろ若い頃よりも、或意味では高ぶることが多くなっておりました。
一人、恥ずかしい話ではございますが、自慰に耽ったことも一度や二度のことではございません。

 いいえ、実はこれからなのでございます。
そろそろお気付きになられた方もおいでになるかもしれませんな。
他の方たちには内緒にしてくださいよ。
謎の紐解きの面白さが失われてしまいますからな。
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