藁半紙の原稿
満たされてしまう…
彼の一挙一動でこうも簡単に変わってしまう。
この人はわかっているのだ。
許婚がいる身で、結局は公に出来ない恋がいかに身勝手か。
わかった上でこんなことを言う事が、どんなに残酷であるか。
きっと、全て承知した上で言っている。
なのに私は、
怒りも、
哀しみも差し置いて、
喜びの衝動にうち震えている…
抑えられるはずもなかった。
「…私………も…好きです。
霎介さんの事が……どうしようもなく………大好きです」