シュアリー×シェアリー
01: はじまり

01.1:告白


「分かった、俺雪子のこと好きなんだわ」

 押し倒された状態のまま、数秒前のキスの余韻が残ったままに彼の言葉を理解しようとするけど、うまく頭が回らない。

「は・・・?夏美のとこ好きだった…じゃん」

 なるべく平常心を装って、彼の胸に手を当てて退かそうとするが、鍛えられているらしいその体はびくともしない。なんて生意気な、と何度か殴ってみても全く意味はなかった。

「そうだと思ってたんだけど、雪子の事好きっぽい」

 嫌だったら拒んでよ、と年下のくせに妙に色気のある声色で囁いて体を押さえつけられる。いつの間にか手にしていたタバコは揉み消され、その残り香だけが雪子と目の前の男を包み込んでいる。
 彼の長い睫が自分のまぶたに触れる。
 どうしよう、どうしようと柄にもなく焦ったまま、もう一度彼の肩を強く殴った。
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