夏休みのTシャツ
「俺の顔なんかついてる?」

恭ちゃんがあたしに問いかけた。

「えっ?ついてないよ。何で?」

「何でって、俺の顔じっと見てるから。もしかしてみとれてた?」

「そんなんじゃないよぉ。」

「すっげぇ見てたけど。どっちかっていうと、見つめてたかな。」

「うそ、見てないってばぁ。」

恭ちゃんがからかうから、照れ隠しに笑っちゃう。

「やっと笑った。もしかして緊張してる?電車の中からずっとムスってしてた。」

「えっ………うん。すっごくしてる。恭ちゃんはしてないのかなぁ、と思って、見てた。」

「そっか。俺はまだかな。たぶん着替えたら緊張すると思う。」

「大丈夫かな?あたし。」

「大丈夫だって。いつも通りにやろう?俺が一緒じゃん。」


恭ちゃんがとっても頼もしい、大人に見えた。
背だってそんなに変わらないし、まだまだ細いし。

あたしの方が大人だと思ってたのに。



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