恋色カフェ
“やめようか”
無情な言葉なんか、聞きたくない。
「わ、高宮さん、目が据わってるっすよ。そろそろ酒は……」
こちらを覗き込んだ勝沼君の顔が、グラス越しに見える。私は心配そうな表情の彼をよそに、グラスに残っていたお酒を全て喉に流し入れた。
お酒に逃げたって、現実は何も変わらないとわかっていながら、そうせずにはいられなくて。
「ちょっ……、高宮さんっ」
近くで呼ばれた筈なのに、勝沼君の声は何故か遠くの方に聞こえる。
そのうち、ふわふわと気持ち良い感覚が私を包んだ。
このまま、この心地良さに身を委ねてもいいだろうか。
考える間もなく、私はもう既にその状況に身を委ねてしまっていた────。