恋色カフェ
『……本気だと言ったら?』
さっき、確かにそう聞こえた。
でも、そんな訳ない。
だって森谷店長には、理英さんという奥さんがいるんだもの。
「……惑わせないでよ」
心の中にずっと封印していた、過去の傷。
さっきのキスが封印をといてしまったのか。その古傷が、またジクジクと痛みだした。
私はよろめきながら立ち上がり、鍵を開けて事務所に戻った。
秀人に、会わなくちゃ。どうしても。今すぐにでも。
そうしなければいけない、と心が警鐘を鳴らしている。
封印が、完全にとかれてしまう前に、と。
私は、事務所に誰もいないのをいいことに、鞄から携帯を出してすぐにメールを打った。